小売 てんびんの詩 ビデオテープ

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レンタル版のビデオテープです。 パッケージに色あせがみられます。 ビデオテープ本体にシールが貼られてあります。 特にテープのたるみもなく問題なく視聴いただけます。 状態は画像にてご判断ください。 ♯ストーリー その日、主人公・近藤大作は小学校を卒業した。近江の大きな商家に生まれた彼は、何不自由なく育ち、今日の日を迎えていた。そんな彼に、父は祝いの言葉と共に一つの小さな包みを手渡す。中には鍋の蓋が入っていた。彼には意味がわからない。だが、その何の変哲もない鍋蓋が大作の将来を決めることになる。父はそれを売ってこいというのだ。売ってこなければ、跡継ぎにはできないという。 しかたなく、大作は鍋蓋を売りに歩く。まず店に出入りする人々に押し売りのようにしてすすめる。だが、そんな商いがうまくいくはずもない。道ゆく人に突然声をかけても、まったく見向きもされない。親を恨み、買わない人々を憎む大作。父が茶断ちをし、母が心で泣き、見守る人々が彼よりもつらい思いをしていることを彼は知らない。その旅は、近江商人の商いの魂を模索する旅だったのだ。 行商人のようにもみ手をし卑屈な商いをしても、乞食をまねて泣き落としをしても、誰も彼の鍋蓋を買うものはいない。いつしか大作の目には涙があふれていた。そんなある日、農家の井戸の洗い場に浮かんでいる鍋をぼんやりと見つめながら、疲れ切った頭で彼は考える。〈鍋蓋がなくなったら困るやろな。困ったら買うてくれるかもしれん〉。しかし、次の瞬間には〈この鍋蓋も誰かが難儀して売ったものかもしれん〉。無意識のうちに彼は鍋蓋を手に取り洗いはじめていた。不審に思った女は尋ねる、なぜ、そんなことをしているのかと。大作は、その場に手をついて謝る。 「堪忍して下さい。わし悪いやつです。売れんかったんやないんです。物を売る気持ちもできてなかったんです。」 女は彼の涙をぬぐいながら、その鍋蓋を売ってくれというのだった。

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